UV塗装とは、紫外線で硬化するUV塗料に紫外線を照射し、UV塗料を硬化させる塗装処理のことです。ドイツで開発されたこのUV塗装は、従来の塗装では得られない塗装表面の耐磨耗性・耐熱性があります。
ちょっと専門的になりますが、少しUV塗料について説明します。塗料の組成は必ず必要となる二重結合をもったアクリル系オリゴマー、アクリル系モノマー、光重合開始剤と顔料、他に必要に応じて有機溶剤や水などを混入して作られます。光重合剤が紫外線を取り入れ、オリゴマーやモノマーに働きかけて塗料が固形化していくのです。この固形化の反応が速いので、UV塗料の乾燥がきわめて速くなります。
UV塗料を硬化させるのに必要な紫外線とは、紫より波長の短い光です。UV塗装に用いる紫外線の波長は250ナノメーターから450ナノメーターの範囲で、工業的には高圧水銀灯から得られます。(1ナノメーターは1ミリメーターの100万分の1の長さ)
UV塗装の技術は実用化されてから40年ほど経ちます。 現在では、さまざまな事業分野で採用されています。
目次
UV塗装の特徴
UV塗装の特徴は何と言っても、紫外線を照射して数秒単位で硬化することです。しかも、その表面のきめは細かく、丈夫で剥離しにくいのが特徴です。この大きな特徴が、さらに関連した素晴らしい特徴を生み出します。列記すると次のようなものがあります。
工期が短い
従来の塗装のような乾燥時間を必要としないため、短い工期が売り物です。バスタブをリニューアルするような場合、通常の乾燥工程があれば3日程度かかります。UV塗装であれば、その日の内の入浴も可能になります。
仕上がりがきれい
塗料が硬化した後の仕上がりは、きれいな透明感があり、豪華に見えます。
手入れが簡単
木質材のフローリングを手入れする時、汚くなったワックスを剥離してからワックスをかけるという作業になります。UV塗装であれば、水拭きや洗剤拭きだけで大丈夫です。
生環環境に強い耐性がある
傷が付きにくい皮膜の耐久性は10年以上と言われています。塗膜は硬くて密度が高いためカビなどの繁殖を抑える抗菌性があります。更に、熱や薬品への耐性もあります。食用油や洗剤などが付いても汚れにくく落としやすいのが特徴です。
主な用途
UV塗料は、建材に塗ることも出来るし、金属、コンクリート、セラミック、プラスチックにも適用できます。さらに、ホルムアルデヒドの発散量は居室内で使用しても問題のない「F☆☆☆☆(0.12mg/L以下)の規制値」です。
はじめの頃、UV塗装は工場の塗装ラインでしか出来なかったのですが、今は持ち運び可能なUV照射装置も普及しています。つまり、現場でのUV塗装作業が可能になり、用途は一段と広がっています。すべては書けませんが、抜粋すれば次のような用途があります。
・プラスチックのフロアタイルや化粧品のキャップ、建材、家電商品への塗装
・FRPやABC樹脂を使ったバスタブやトイレへの塗装
・飲料用の金属缶の外面塗装、鋼板や鋼管のさび止め
・紙類への適用(ラベル・シート、雑誌の表紙、アルミ蒸着紙のベースコート)
・家具や建材への塗装、パーティクルボードの下塗り塗装など
丈夫で綺麗だが傷には注意
通常、塗装と言えば乾燥工程があり、どうしても待機時間を余儀なくされるものです。しかし、今回のUV塗装は、そういう待ち時間はほとんどありません。更に、仕上がりは丈夫できれいな優れものです。家具などは、UV塗装が施された高級品がたくさんあります。
UV塗装は非の打ちどころがないほど素晴らしいと思います。敢(あ)えて、一言の苦言をするならば、塗膜が丈夫なだけに、何かの事情で傷ついたり、シミができたりした時、補修しにくいということです。購入時に高価なものであれば、メンテナンス体制を確認することをお勧めします。特にテーブルなどは、塗装の下に使用されている木質を確認しておくことが必要です。塗装のやり直しができない場合もあります。商品を決める時に、メンテナンスのことも聞きながら見歩くのも楽しみの一つになります。