花崗岩(かこうがん)は通称“御影石(みかげいし)”とも呼ばれています。神戸市の御影地方が産地として有名だったことから、こう呼ばれるようになりました。花崗岩は地中のマグマがゆっくり固まってできた火成岩(かせいがん)であり、その中の深成岩(しんせいがん)に属する岩石です。
石英(せきえい)や長石(ちょうせき)、雲母(うんも)を多く含み、緻密(ちみつ)で硬く、耐久性、耐摩耗性に優れ、酸やアルカリにも強いので、日本では古くから城の石垣や石橋、鳥居や道標(みちしるべ)など、様々な用途に使われてきました。
花崗岩の採掘ですが、国内では福島県や茨城県、瀬戸内海周辺などで多く採掘されています。国会議事堂の外装はすべて国産の花崗岩で、特に多く使われた広島県の桜色をした花崗岩は“議院石”と呼ばれるようになったそうです。現在、桜色の花崗岩は主に、スウェーデン、ポルトガル、インド、南アフリカ、中国などから建材として多く輸入されています。
目次
花崗岩の特長
花崗岩の特長は色彩豊かな結晶模様にあります。色はポピュラーな白や黒系のほか、赤、ブルー、ピンク、茶、緑系があります。これらには産地に因んだ稲田石(いなだいし)、万成石(まんなりいし)、ジンバブエ、インパラブラックなどの名称で呼ばれたりします。
消費者が入手する時は、御影石として表面処理された石です。結晶の大きさによって、大御影、中御影、小御影に分類されたり、色調によって黒御影、白御影、赤御影などと呼ばれます。現在、日本で採れるものは白やピンク、グレーの薄い色調もので、赤や黒などの大半は外国産です。一般的に花崗岩の特徴は次のようなものです。
花崗岩の利点
・磨くと光沢があり、重厚感、高級感がある
・緻密で硬く耐久性がある
・酸やアルカリにも比較的強い
・耐水性、耐熱性があり、水回りに使える
花崗岩の欠点
・耐火性はやや劣る
・硬いので切断、研磨が木材と比べて困難
・重いので運搬費用が高くなる
花崗岩の主な用途
花崗岩は比較的酸やアルカリにも強く、耐水性、耐熱性があり、磨くときれいです。この特徴は人間の生活空間にも適合しやすく、外で使用しても長く使えることになります。冒頭にも書きましたが、古くから城の石垣、神社の鳥居などに利用されていました。
現在は墓石に利用されたり、多くは建材に使われています。建築材料としては、外壁のほか、高級感を求める空間や水回りなどに多用されています。大理石と比較すると外観イメージは華やかさというより、落ち着いた重厚な仕上がりになります。
やはり、商品イメージは仕上げ処理に依るところが大きいようです。磨きすぎず、艶を抑えた仕上げにすると、白い石は素朴な感じに。黒い石はシックで落ち着いたイメージになります。これらの材料は床材に適しているので、リビングからテラスへ床をつなげたり、中庭を室内風に仕上げたりする場合に効果的な材料になります。
国産の建材である花崗岩
花崗岩は日本でも産出する数少ない建材の一つです。私たちは通称名を使って”御影石”と言います。その御影石は見渡すと、公共施設や商業施設、記念的建造物で内装、外装を問わず使われています。壁や床、階段、敷石、テーブルやカウンターの天板など。筆者の家の表札は御影石に彫ってもらっています。
綺麗に磨かれた豪華なイメージもあれば、艶を消した落ち着いた雰囲気のものまで、花崗岩は処理の仕方一つで趣を変えていきます。日本人に宿る静なる雰囲気を秘めているようです。
しかし、時代は多様性を求めて進化しています。採掘する国が変われば、日本には無い特色の花崗岩が採れます。色彩、結晶の形や大きさが変われば、また新しい発見があるものです。古来より日本人は海外から新しい材料を見つけてきては、日本固有の文化に取り入れてきました。これからも使う人の感性に応えるために、天然の石が果たす役割は大きいのです。